iPadと学習支援

「読み」「書き」を中心に、iPadを活用した学習支援について触れていきます

電子教科書関連情報まとめ(選び方~使い方まで)

 

 

今回は、電子教科書の選び方や利用方法、申込方法等まで具体的に説明していきたいと思います。

 

前記事 ↓ で載せていた

PDFの11ページに簡単な説明は載せているのですが、今回はもう少し掘り下げて説明していこうと思います。

 

※文字数が過去記事と比べるとかなり多いため、目次を追加しております。読みたいタイトルへ飛んで下さい。

 

 

電子教科書の種類について

 

電子教科書を個人で導入する選択肢としては以下の二つ、「デイジー教科書」と「アクセスリーディング」があります。この二種類については登録を行えば無料で使用することができますが、法律の関係上、読みに困難さのある方のみ利用することができます。(とはいえ、診断の有無、手帳の有無については問わない様です)

 

デイジー教科書

 

デイジー教科書とは

DAISY(デイジー)は、視覚障害者や印刷された図書などを読むのが困難な人のために開発された電子図書の国際的な規格です。

DAISY録音図書について - 働く障害者団体協議会より

 その規格に則って作られた電子教科書がデイジー教科書(図書)です。

 

デイジー教科書の特徴

無償提供されている

個人の登録が必須

・複数のNPO法人が作成している

iPadAndroidタブレットパソコンで再生可能(タブレットの場合はマルチメディアデイジーというアプリ、パソコンの場合はデイジーポッドというソフトを使用して再生します)

iPad版、Android版の場合、有料アプリの購入がほぼ必須

・音声が滑らかで、読み間違いが少ない

・3月末~4月1日までには新年度分の電子教科書の受付を開始している

 

アクセスリーディング(AccessReading)

 

アクセスリーディングとは

著作権法第 37 条および教科書バリアフリー法に基づき,東京大学先端科学技術研究センター大学図書室および人間支援工学分野が共同で運営している電子教科書です。

 

アクセスリーディングの特徴

・電子教科書の無償提供を行っている

個人の登録が必須

東京大学先端科学技術研究センターが作成している

iPadパソコンで再生可能(iPadの場合はiBooks、パソコンの場合はマイクロソフトのWord及び和太鼓を使用して再生します)

iPadだとiBooks、パソコンだとWordでの閲覧を想定しているため、初期費用不要

・電子教科書の音声読み上げを行う場合、タブレット端末の機能やソフトウェア(iPadの場合は「Siri」、パソコンの場合は「和太鼓」)を使用するため、読み間違いが発生することがある

・希望者の求めに応じて対応

⇒以下の表の様な流れで作成されるため、新年度分の電子教科書は配信されるまでに時間がかかる

 

f:id:przsk2:20160405160943p:plain

アクセスリーディング公式HP「お申し込みの流れ」より

 

 

※余談

出版社からの購入について

※参考:東京書籍・ICT / カタログ・パンフレット ダウンロード

 

東京書籍等の教科書を出版している企業が、電子教科書の作成を行っている場合があります。ただし、申込フォームに、

 

『お申し込みは,教育委員会または学校の先生に限らせていただきます。』

 

と書いてありましたので、基本的に個人での購入はできない可能性が高いです。恐らく、教科書を提供している各出版社は電子教科書の場合、学校全体での導入を想定しているのではないかと思われます。

 

4年後、本格的に全国の学校へ導入予定という話もありますので ↓ 

 

 

電子教科書選択のポイント(個人的な見解)

 

デイジー教科書の利点「総ルビがある」

「総ルビ」とは、紙の教科書に振ってある振り仮名だけではなく、全ての漢字に振り仮名が振ってある状態のことです。

漢字の読み書きに困難さがあるほか、聴覚的短期記憶(ここでは聞いたことを一時的に覚えておく能力)にも困難さがあり、教科書の読み上げ音声を聞くだけでは理解することが難しい場合は、「総ルビ」の教科書がある(※教科書の種類によっては無い場合もあります)という観点から、デイジー教科書の方をおススメします。

iPadが読み上げる音声を聞くことに加えて、振り仮名が振られた文字を目で読むことは、より内容を理解するための手助けとなる可能性があるからです。

 

アクセスリーディングの利点「高校の電子教科書も配布している」

上記リンクを開くと確認できると思うのですが、デイジー教科書が義務教育である小学校・中学校の教科書のみを配布しているのに対して、アクセスリーディングでは、個別の相談に応じて高校の電子教科書の作成も行っています。

ただし、アクセスリーディングの場合、複数の団体が協力して作成しているわけではないため、ここに記載されていない教科書は、配布までに数カ月の期間を要することを念頭に置いておく必要があります。(詳しい期間等については公式HPからお問い合わせした方が良いと思われます)

 

総括

  1. 総ルビが必要もしくはあった方が良い場合はデイジー教科書
  2. 高校の電子教科書を使いたい場合はアクセスリーディング
  3. 義務教育課程(小中学生)で、総ルビが必要でない場合はどちらでも構わない

 

3の場合は、実際にサンプル版をダウンロードしてみて使いやすい方を選択すると良いのではないでしょうか。

 

 

電子教科書を利用するための準備

 

どちらを利用するか選択する(サンプル版の体験方法)

 

【デイジー教科書の場合】

 

タブレットの場合は「ボイスオブデイジーLITE」、パソコンの場合は「デイジーポッド」をインストールして下さい(サンプル版のため、再生時間は120秒に制限されています)

 

iPadの場合 ↓ 

ボイス オブ デイジー LITE

ボイス オブ デイジー LITE

  • CYPAC Co.,Inc.
  • ブック
  • 無料

 

AndroidNexusXperiaASUS等々) の場合 ↓  


パソコンの場合 ↓ 

下記リンク先 ↓ のPDFにデイジーポッドのダウンロード用のURLが貼ってあります

デイジーポッドをインストールする (説明書PDF)

※現在はバージョン3.0.2が公開されています(2016/05/27時点)

 

②下記サイトから書籍のサンプルをダウンロードし、動作確認を行って下さい

【サンプル提供サイト】 

 

【アクセスリーディングの場合】

 

iPadの場合 ↓ 

①(iPadに入っていなかった場合は)iBooksをインストールして下さい

iBooks

iBooks

 

②下記サイトから書籍のサンプルをダウンロードし、動作確認を行って下さい

 【サンプル提供サイト】

AccessReading電子書籍のサンプル

※現在は準備中になっているようです(2016/05/27)

 

以前配信していたサンプル、「写真のねずみ」をダウンロードして試してみた限りは、iBooks storeで入手した横書きの書籍と使い勝手はさほど変わらない様に感じました。

サンプル公開までに時間がかかっている場合は、とりあえず半永久的に無料の 「iPadユーザーガイド」↓ を入手してみて、動作確認を行ってください。

iOS 9.3 用 iPad ユーザガイド

iOS 9.3 用 iPad ユーザガイド

  • Apple Inc.
  • コンピュータ
  • 無料

読み上げ機能の使用方法については前々回の記事でご紹介したPDFの2ページ目と同じです。設定を事前に行っておく必要があります。

 

ちなみに縦書きの書籍は過去記事 ↓ でもご紹介しましたが、「画面の読み上げ」が使用できないことに留意して下さい。

 

電子教科書の使い方をマスターする

 

基本的には下記表 ↓ のリンク先に使い方が明記されています。

実際に動かしてみながら、説明書を確認すると分かりやすいです。

 

デイジー教科書 iPadの場合⇒iOS版ヘルプ

Androidの場合⇒Android版ヘルプ

パソコンの場合⇒Windowsで使用する

アクセスリーディング

(AccessReading)

 

教科書データの利用ガイド

 

 

 

利用したい方へ申請し、登録を行う

 

サンプル版を体験して、使いやすいと思った電子教科書の申請を行って下さい。

 

【デイジー教科書の場合】

下記リンク ↓ へ飛んで下さい。

デイジー教科書 申請方法

※WEB、FAX、郵送等、申請方法を選べます。

 

【アクセスリーディングの場合】

 下記リンク ↓ へ飛んで下さい。

AccessReading登録申請

※基本的にはWEB申請です。「個人からで申請」か、「学校/教員が申請」の2種類から選択できます。

 

電子教科書の閲覧に必要なアプリ、ソフト 

基本的には上述した「サンプル版の体験方法」と同じです。しかし、デイジー教科書については、「ボイスオブデイジー」がiPad版、Android版共に有料になります。

 

 iPadの場合 ↓ 

ボイス オブ デイジー

ボイス オブ デイジー

  • CYPAC Co.,Inc.
  • ブック
  • ¥3,100

 

AndroidNexusXperiaASUS等々) の場合 ↓ 


 

 

とりあえずは以上です。

誤字・脱字や内容の誤りがあった場合、または記事のリクエスト等ありましたら、コメントにてお知らせください。