大学センター試験や高校入試時のICT活用事例について(パソコン、タブレット)
お久しぶりです。
世は受験シーズン真っ只中ですね。
進学したい高校や大学があり、合格する力もあるけれども、障害の関係で不安になっていらっしゃるご家庭もあるようです。
そこで、今回はICTを活用した特別受験措置について、いくつか小耳に挟んだ情報をご紹介したいと思います。
※ブログの方針の関係上、ICT(パソコン)中心の事例のみコチラのブログで書こうと思います。
大学・高校入試の配慮に関する基本的な情報はコチラ ↓ に記載しました
[実例紹介]
毎日新聞の記事
パソコンと口述筆記で受験 神奈川・書字障害の生徒、県立高校に合格 ↓
http://mainichi.jp/articles/20150526/ddm/013/100/002000c
高校での受験の配慮はセンター試験と違って各学校の裁量に依るところが多いため、パソコンによる受験が許可される前例ができたということはすごいことだと思います。
ここで注目したい2つのポイント
1.校内テストでパソコン使用の許可を出した中学校の判断
受験時の配慮を求めるにあたって、在籍校で配慮を行った実績があるということは大変重要なことです。(むしろ実績が無いと許可される可能性が極めて低い)
2.外部専門機関との連携
ここでは先端科学研究所ですね。配慮申請を求めるとき、外部専門機関(大学、研究機関など)と連携しているということは、前例のない取り組みを行う場合かなり心強いです。
※先端研は下記のDO-IT Japanプロジェクトを行っていることもあり、受験時の配慮方法について、多くの先進的な事例に関わっています。
私も以前、受験の配慮申請について行き詰まったとき、メールにてお世話になったことがありました。
DO-IT Japanの取り組み
ここでは、三つの事例が紹介されています。
特にBさんの事例が興味深いです。
Bさんの例について
B さん (茨城県在住)
- 学習における困難
- 脳性麻痺による肢体不自由で不随意運動があり鉛筆による筆記が困難。
- 普段の学習方法
- 通常の学習やテストではパソコンを使ってノートを取ったり、テスト問題への解答を記入している。また、特に数学では、計算過程を書くために数式ワープロ「MathNote」を利用。計算機能はなく、数式を書く機能だけがある。高校での試験でも使用が認められてきた。
- 配慮申請内容と結果
- 大学入試センター試験の際に、パソコンで数式ワープロ「MathNote」の使用を申請し、認められて受験。普段の学習で長年使用していたこと、ソフト自体に計算機能がないことの証明や、紙に手書きで文字を書いた場合にかかる時間とキー入力した際の速度の違いについての検査結果を示すなど、使用の妥当性についての根拠を示すことができたことが、使用を認められた要因の一つだと思われる。
ここで紹介されているMathNote(マスノート)というソフトについてですが、現在では正規のダウンロード販売を停止している様です。
※本家サイトはリンク切れ、ダウンロードサイト「窓の杜 - 【NEWS】数式ワープロソフト「MathNote」がv4.0へメジャーバージョンアップ」でもリンク切れ、「Vector: ソフトライブラリ&PCショップ - 国内最大級の フリーソフト ダウンロードサイト」では記述なし
※ソフトソニック等のダウンロードサイトではまだ配信されているようですが、違法配信の可能性が高く、悪質なアドウェアやウイルスが混入されている危険性も高いため使用しない方が賢明です
ただ、WindowsのWordにも、数式を入力する機能があるようなので、そちらを使う方法もあると思います。
タイプ打ちで数式を入力する場合 ↓
マウスでドラッグ(左クリック長押し)しつつ書く場合 ↓
※IMEパッドの様なものです
数学に対する理解はあるけれど、実際に書くことができないという生徒にとって、考えられ得る手段の一つだと思います。
※ただし、Bさんは緊急性が認められやすい肢体不自由の方ですので、他障害種の場合、交渉がスムーズにいかない可能性があります。
余談:Cさんの例について
Cさんの場合、受験に向けて「MicrosoftVisio」というソフトを使っていたようですね。
Visio 2013 製品版購入と試用版 – フローチャート ソフトウェア
Microsoft Visio 2016 プランと価格 – Visio 2016 オプションの比較
Microsoftが公開している 使い方の説明はコチラ ↓
http://download.microsoft.com/download/3/6/9/369f7e8c-9d44-4428-9755-e7511ab615c7/62_brain.doc
(リンククリックでWord文書がダウンロードできます)
Cさんの場合、考えを整理するためにブレインストーミングの手法を採っているとのことでしたが、これは手書きやタブレット端末等、表出のさせ方も様々です。
以前 、過去記事にてご紹介しました ↓ のような方法もありますのでご参考までに。
その他
見聞きした例ですが、学校間の話し合いが行われた後、「構音障害のある生徒が、タブレットを使って面接試験を受けた」ことがありました。
実際に使ったアプリについては伺っていないのですが、考えられ得る方法としては、
iPadの場合
【タイプ打ち方式】
・メモ帳アプリに書き込む→「全体の読み上げ」
(詳しい方法については「はじめに - iPadと学習支援」に掲載しているPDFをご覧下さい)
【なぞり書き方式】
・「しゃべって」アプリを使用する
(実際にインストールしてみましたが、文字の認識精度結構良かったです)
Androidの場合
【タイプ打ち方式】
・「かなトーク」アプリを使用する
かなトーク Mini2 - Google Play の Android アプリ
【なぞり書き方式】
・MyScript Stylus(マイスクリプトスタイラス)のキーボードと「かなトーク」アプリを併用する
MyScript Stylus (Beta) - Google Play の Android アプリ
(MyScript Stylusでなぞり書きした文字をデジタルテキスト化し、かなトークで読み上げる)
等があると思います。タイプ打ちの方が楽な方もいれば、なぞり書きの方が楽な方もいらっしゃるので似た配慮を必要とされる方は、両方試されると良いと思います。
「 大学センター試験や高校入試時のICT活用事例について」は以上になります。
他にこのような事例があったという情報提供等ございましたら、コメントにてお知らせ下さい。